優等生の陰謀

人間見た目で判断しちゃいけない… 風道 浅都(カザミチ アサト)、高校2年生。 耳には合計5個のピアス。 髪の色は…天然だけど金に近い茶色。 目の色はこれまた天然の灰色に近い蒼。 授業出席回数、今年に入って(只今、6月)10回位? 学校には来てるけどさ、授業って何かめんどい。 頭はいいしね、俺。 常にテストは学年2位、すごくね? まぁ、以上を踏まえた上での俺の世間から見た人種は… 厄介な不良。 だって頭いいからね。 喧嘩だってそこそこ出来る。 だから…あんなやつに負けるだなんて、夢にも思わなかったんだ。 【優等生の陰謀】 ざわつく教室は好きじゃない。 たまにしかいない俺の噂をしているのが分かるから。 別に自意識過剰な訳じゃない。 事実、聞こえてくるんだから仕方ないだろう? 俺は、苛ついたように席を立ち上がり、教室を出る。 周りはびくり、と肩を揺らし、視線で俺を追う。 ホント、鬱陶しい。 が、 「本当に鬱陶しいのはテメェなんだよ!狩谷!!」 屋上に俺の声が木霊する。 人はいないので誰にも聞かれることはないが。 いま、俺の目の前にいるコイツ、狩谷 奏(カリヤ ソウ)以外には。 「やだなぁ、僕は先生に頼まれて君を迎えに来たんだよ?」 「俺は頼んでない、とっとと失せろ!!」 俺はこいつが大嫌いだ。 いつも澄ました顔しやがって、教師におべっかばっか使いやがる。 完全な優等生。 勿論教師受けもよく、周りの奴らもコイツを信用しまくっている。 誰にでも優しいんだ、コイツは。 妬んでるんじゃねぇぞ? 別にコイツがどんな人生歩もうが俺には関係ないしな。 けど、最近この野郎、俺の周りをうろちょろしやがる。 初めは、学校内だけだったから教師の差し金だって思った。 あぁ、思ったさ!! けど、 「毎日毎日人の家に押しかけてくるのも教師どもの差し金だって言うのかよ!」 だったら、プライバシーの侵害だ。 「それは僕の自己判断。」 「簡単に認めるんじゃねぇよ!この変態ストーカー!!」 「ストーカーは元々変態なものだろう??」 「だから、んなあっさり認めるんじゃねぇ!!」 はっきり言っておこう。 コイツはさっきも言ったが完全なる優等生。 つまり、学年2位である俺の唯一の上位者。 不動の学年1位。 や、俺は授業に出てないからってのもあるんだけど。 それでも、俺が言い任せれないのは狩谷だけな訳で。 「事実なんだから仕方ないだろう?」 「いやいや、自分のことを変態と認める偉人はお前が初めてだぞ!?」 「うん、ありがとう。」 「だからっ、褒めてねぇんだよ!!」 「そうなの?」 「〜〜〜〜〜っ!!!」 もう嫌だ。 こんな不毛な言い合い。 「頼むから、もう俺に構うなよ!」 「何故?」 「俺は自由に生きたいんだ、人に監視されてなんか生きたくねぇの!!」 こうなりゃ、直談判しかない。 そう思った俺は懇願にも近い本音を言った。 それでも狩谷はその笑顔を崩す事ことなく…。 「うん、君はそんなイメージだよね。」 「イメージとかじゃなくて…」 「だからかなぁ…」 「あぁ!?」 「僕、君が欲しくて仕方がないんだ。」 「…………………は………………????」 What!? なんておっしゃいました!? 俺は驚きのあまり目を白黒させる。 そんな俺にすらもヤツは悠然と微笑みかけ、 「だから、君の事欲しいんだ。」 ウソツケ、この野郎。



next